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〜教育と、教育観を再構築し続けるコミュニティ〜
2025年05月10日 (Sat)
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2009年12月25日 (Fri)
きのくにを卒業し、私は地元公立校へ進学しました。
このときに感じた様々な疑問が、私の教育への問題意識が生まれた原体験です。

 
高校時代は、自分史上一番尖っていた時期です。
最近では、色々な人と話す中で、相手の立場や思想を考え、婉曲的な表現に変えたり、
また、自分自体の考え方も変わってきていて、
そんなに極端な表現をすることをは少なくなってきました。(少ないと、自分では思っていますが、どうでしょう。)
そういった理由で、最近ではむしろ、極端な考えや意見を言うことが出来なくなってきました。
 
だけど。
自分の現在の思考・思想への「足跡」をちゃんと振り返るためにも、
ここでは、少し極端な表現になっても、そのときの自分の考えや感覚をしっかりと振り返っていきたいと思います。
 
偏っているところ、見えていないところも多くあるかと思います。
だけど、「そのまま」を出させてください。
 
 
*   *   *   *   *
 
 
高校では、本当に毎日が驚きの連続だった。
【学校】【教師】【生徒】【授業】【学び】【教育】【ルール】【社会】【常識】
それらが、前提から全て違っていた。
『異文化』という言葉がピッタリくる。
異国の地に来た気分だった。
同じ日本語を話しているはずなのに、同じ日本で生まれ育っているはずなのに、
何を話しているのか理解が出来ないし、言葉が通じないと思った。
言葉に込められた、思いや、感覚や、思考や、価値観が。
 
しかも、自分以外の人間は、理解し合っているように思った。
自分にとっては『異文化』であったその環境は、そこにいた人にとっては『当たり前の世界』であった。
自分が宇宙人になってしまったような気分になった。
 
 
入学して早速行われたオリエン合宿での集団行動指導は、
集合や行進の仕方の練習を行い、
一番遅いチームは体育館の中を走るという罰が与えられるものであった。
繰り返し「○○高校生としての自覚を!」と声高に叫び続ける
生徒指導の教員に対する恐怖感により、集合・行進を繰り返す様子に、
どこか別の世界に来てしまったのだという感覚を持ったことを覚えている。
今にして思えば、入学当初は締め付けを強化している時期だったのであろう。
 
1ヶ月に1度は必ずある服装検査では、教員4~6人囲みで、
髪型・眉毛・ピアス・スカート丈・靴下・化粧の有無等、
それこそ頭の先から足の先まで検査されていた。
爪をチェックしてもらい、次に髪型をチェックしてもらう教員のところに行き、
次にスカート丈を…という流れはまるで、
ベルトコンベアーを流れ、優・秀・良・可・不可をつけられ出荷される商品の気持ちであった。
 
高校2年生から本格化する進路指導では、どこに進みたいかというよりも、
偏差値を見ての指導がなされていたし、生徒の側も偏差値を見て志望校を決めていた。
現在の偏差値から±5程度のところが進学先として有力になってくる。
自らの偏差値の10上や逆に下を志望する生徒はいなかった。
 
授業は、眠るための時間、もしくは話をしたり手紙交換をするための時間だった。
はじめてその授業光景を見たときは、驚いた。
だれも、授業の内容に集中していないし、教師の側もそういうものだと授業を進める。
しっかりと授業を聞き、あてられてもいないのに質問をしようものなら、
「真面目」という『マイナスの評価』を生徒から付けられる。
義務教育は中学まで。高校に進学を【決めた】ということは、
何かそれぞれに高校への意志があったのではないかと、私はそれまで思っていた。
現実は、行くのが当たり前だから、みんな進学していただけの話だった。
 
 
初めの1年、特に半年間は、本当にしんどかった。
自分の中の常識が、ガラガラと音を立てて崩れていった。
かといって、みんなの見ている『当たり前の世界』を同じように『当たり前』と見て、
その文化に染まることも出来なかった。
牢獄に囚われる夢、「1-1-13 神野有希」と自分に囚人番号が付けられる夢を見た。
 
 
 
そんな中で、はじめ、【敵】は自分と同じ立場にある生徒だと認識した。
 
具体例をあげればキリがない。
小さなことでは弁当を食べるグループが毎回固定であることから始まった。
 何でそんなにグループにこだわるのか、一人だと耐えられないのか。
 何で一人でいる子を見ると、可哀想という感情になるのか。友達探しに必死なのか。
授業への消極的な参加は、あり得ないと思った。
 来たくなければ来なければ良い。学ぶ気がないのなら何故進学を選んだのか。
 自分がそのときにその学習に興味が無いのならそれでいいけど、
真面目に学ぶ子にカッコ悪いとラベルを貼るのは何で。
アンケートや感想文での、建前の文章も気に入らなかった。
 本当はそんなこと思ってないでしょ。
教員や学校側が求めているだろう答えを書いたり発言して、何が感想文だ。
靴下27㎝まで、喫茶店・カラオケボックスへの生徒だけへの入店不可。ばれない様に。
 何でそんな時代錯誤なルールを続けるのか。変えようよ。
 服装検査のときだけ髪もくくってスカート下ろして、体育館を出た瞬間元に戻すその努力は何。
その判断基準、どうなのよ。
 正しいか正しくないか、自分が善いと思うか悪いと思うかではなく、
 褒美や罰が与えられるから、みんながしているからという判断基準が、あまりに一般的なことに落胆した。
 
正直に振り返ると、はじめ私は、同じ立場にある生徒を見下していた。
変化が起きたのはすぐだった。
 
何人かと遊びに行ったり、話をすることがあったんだけど、
生徒の多くは、学校を離れ個別で話すと自らの意見や見方を持ち、考えていた。
見下していた自分が恥ずかしくなる位、私以上に考えている子なんてたくさんいた。
だけどどういう訳か、学校へ入ってしまうと彼らは自分の本心をあまり出さずに、
授業中やホームルーム・集会・服装検査、すべてのときにおいて【生徒という役割】を演じていた。
【学校】では考えることを、自らの意思を持つことを、それを表明することを止めているように感じた。
彼らにとって、学校というのは自らのままで関わっていく場所ではないという認識があったように思う。
 
 
なんで生徒がこうなんだろう、なんで学校ではこうなるんだろう。
そう考えると、すぐに次の敵は【教師】になった。
高校時代、私は、先生が大っ嫌いだった。
 
授業は聞くもの、という姿勢。
ルールは守るもの、という姿勢。
高校生には高校生らしさ、中学生には中学生らしさ、という姿勢。
 
教員の絶対的な権威による統一。
本音と建て前を使い分ける文化、そしてそれが社会なのだという認識。
集団心理を利用した見せしめや連帯責任による教員の指導。
校則は理由の説明ができなくても決まりだから守らせる。
生徒の進路は学校のレベルに関係するからという理由で、力を入れる進路指導。
 
校則ひとつをとっても、その校則自体に意味があるのであれば、
教師の役割は意味を伝えるだけ、考える機会をつくるだけでいいはず。
意味の無い校則を無理やり守らせないといけないから、力でもって征服するのだ。
授業も、学ぶ内容に意味や意義を教師自身が感じていないから、力でもって前を向かせるしかない。
 
 
何で教員はこうなるんだろう。何で。
しばらく考えると、敵は【学校】と、家庭であったり【社会】というものになった。
 
進路の数値を上げるのは、地域や世間からの評価があるため。
自分のクラスで生徒の指導をするのは、他の先生からの評価があるため。
偏差値による進路指導も、多数の親が求めていることでもある。
生徒の出る杭を打つのは、生徒が出たことによって自分が出る杭になるのを防ぐため。
 
理由は何となく分かるけど、でもそれで良いの?
この人達は、何で教師という仕事をしているんだろう?
 
 
【教師】も【学校】も【世間】や【社会】も、敵だった。
嫌いだったし、恐ろしかった。
 
本当に、本当に嫌いだった。
ときには個人面談の時に、ときには放課後涙ながらに、自分の感情を担任の先生にぶつけ続けた。
ここでの学びはおかしい。
ここでの教育はおかしい。
なぜ、教師にとっても生徒にとっても苦役になっているのか。
そんな学びに、授業に、ルールに、一体何の意味があるのか。
なんの為に学校があって、なんの為に教育があるのか。
先生は、何も感じないんですか?
私は、おかしいと思います。
 
今にして思えば、担任の先生は悪い先生じゃなかった。
申し訳ないことをしてしまったなとも強く思う。
 
 
私の考え方が大きく変わったのは、その先生との話をしているときだった。
いつもは聞いていたり、うまいことやり過ごしていた先生のポロっと出た一言。
 
 
 
「お前は、現場の教師が、これで良いとか、何も疑問を感じずにやっていると本当に思っているんか?
理想とすることや、疑問に思うことがある中で、それでも現実の中で葛藤している教師の、
その何を知っているんか?
お前の言っていることは分かるし、ある面とても正しい正論だとも思うけど、
この学校の生徒を、教師を、学校を、一面的に否定しているように、悪だと言っているようにしか思えない。」
 
 
 
言った後に、言ってしまったという態度をとっていた先生の、
この本音の一言が、私はずっと忘れられない。
 
ああ、この人たちは、ここは、【敵】じゃなかった。
私を苦しめているように思えた【先生】や【学校】【世間】【社会】は、敵じゃなくて、
色々な繋がりの中で、関係性の中で、
それ自体が苦しみながら、そうならざるを得ないような形に、今なってしまっているんだ。
 
 
じゃあ、いったい敵はどこにいるんだ?
敵は何なんだ?
 
散々教師や学校を敵だと認識してきた高校の3年間。
卒業する間近に、「そうではない」と思った出来事だった。
 
 
高校時代の思索は、もう少し続く。
 
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無題
今から振り返ってしっかり捉えきれている部分もあるやろうけど、僕の場合ここまでしっかり問題点を意識して学校を嫌っていたわけではないな。なるほどな~と思うことが多い。

僕のケースで恐縮だが中学時代は教育に疑問を抱かず(、つまりはりんりんさんが「おかしい」と感じる側にいたはず)、高校では思考停止(時間が止まったような感覚と憎悪の感情に囚われていただけの)状態だったので疑問に思うこともなかったか。その中でも予備校に通っていた時期に自分達は商品でその価値を高めるために勉強しているのかと、勉強することの意義を疑ったのは覚えている。そのことを講師に言うと「面白いな、君は。そういう奴は早稲田に行け。」と言われたのを覚えてます(笑)。
ハロウ 2009/12/26(Sat)14:12:29 編集
無題
ハロウさん

コメントありがとうございます。嬉しかったです。
その当時から言語化できていたものと、後から出来たものがもちろんあります。
ただ、その当時の言語化というのも、それこそニイルやデューイのものを元にしていたので、
本当に自分で言語化できていたかと言うと怪しいところがあります。

自分が商品で、その価値を高めるために勉強をさせられているというような感覚は強くありました。
過去三年間の進路状況、それがこの学校の商品なんだろうなと。
「そういう奴は早稲田に行け。」の発言は、笑いというべきか失笑というべきか。
予備校とかだと特に、数値になるものを求められるのでしょうね。
NONAME 2009/12/27(Sun)05:22:38 編集
無題
りんりんさん、まいど!古野です。
集合研修のとき、希望の間であなたのお話しを聞かせていただいたのを思い出しながら、読ませていただきました。
あのときはまだ見えなかったあなたのことが、ちよびっと見えた気がします。
会って直接お話しを聞きたいなと感じました。
ワシ 2009/12/27(Sun)14:49:14 編集
無題
古野さん

コメントありがとうございます。
edgeが終わってからも、こうしてブログを見ていただいて、とても嬉しかったです。
私は、言葉にしたり思いを人に伝えるのがあまり上手ではないのですが、
たまにこうして文章にして、自分への整理をつけていきます。
ちょびっとでも、伝わったと言ってもらえて、本当に嬉しかったです。
またお話させてください。
りんりん 2009/12/27(Sun)15:52:41 編集
無題
りんりんさん、まいど!古野です。
あなたは私たちの仲間であり、大切なプレーヤーです。
なので、こうしてやりとりできると、めっちゃうれしいで。
大笑いしながら大笑いしながらお話しできるのを楽しみにしています
ワシ 2009/12/27(Sun)22:01:57 編集
無題
古野さん、ありがとうございます。
そう言っていただけると、本当にメチャメチャ嬉しいです!

セミファイナルの結果は残念でしたが、コアカレをはじめCORE+の活動は続けていきますし、自分たちの解決したいものとその方法を作り直しながら動き続けていきたいと思っています。
りんりん 2009/12/29(Tue)15:58:22 編集
無題
まいど!
動き続けるとのこと、なによりです。
ぜひ、現場を拝見したいです。
その現場で、ワクワクする物語を見つけたいですね
ワシ 2009/12/29(Tue)16:25:59 編集
無題
こんにちは。
edgeインターンの井上です。
りんりんさんの今まで経験してこられた「学校」というのに、何気に説明会の時に出会ってから興味がありました。
私も、高校時代が自分の中の暗黒時代で、多かれ少なかれ同じような気持ちでした。
「まじめ」な私には生きにくい世界でした。
今度は実際にお話しさせていただきたいなぁと思いました。
まだ続きがあるようなので、楽しみにしています。
井上 2010/01/14(Thu)10:35:29 編集
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